海の生き物
2023年12月14日

サンゴは世界に何種類?ダイバーが知るべきサンゴの種類と基礎知識

サンゴ
ダイビングを始めると、サンゴ礁を目にする機会があるかもしれません。しかしただ見るだけよりも、種類や生態、特徴などを知っていれば、ダイビングスポットの選定やフォトジェニックな写真撮影などに役立ちます。

そこで今回は、ダイバーなら知っておくべきサンゴの種類と特徴について解説します。「ダイビングをより深く楽しみたい」「どこでサンゴが見られるか知りたい」といった方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

サンゴとは?確認された種類と基礎知識

サンゴとは、クラゲやイソギンチャクなどと同じ刺胞動物(毒のある微小な針を持つ)に分類される生物です。植物のような見た目ですが、食事や排せつなども行い、海の動物に分類されます。

世界で確認されたサンゴの種類は、約800種類です。日本では、千葉県・神奈川県から以南の亜熱帯地域でサンゴが確認され、その種類は約425種類です。中でも沖縄県はサンゴの種類が多く、約200種類が確認されています。世界でも珍しい、多種多様なサンゴが生息する海域です。

次項では、サンゴの生態や重要性、特徴など、サンゴの基礎知識について解説します。

サンゴの生態

サンゴはポリプと呼ばれる小さな個体の集合体で、各ポリプには口や胃腔、触手などがあります。前述したように、サンゴは海の生物ですが、その主なエネルギー源は動物性プランクトンと光合成により得られる栄養です。

サンゴは褐虫藻(かっちゅうそう)と呼ばれる植物プランクトンと共生しており、褐虫藻は光合成により得られた栄養分をサンゴに与え、サンゴは住み処を与えています。この仕組みにより成長するサンゴは「造礁サンゴ」と呼ばれ、造礁サンゴの集まりがサンゴ礁と呼ばれます。つまり、サンゴは他の動物と同じように、食べ物(栄養)を補給し、成長する動物です。

サンゴの重要性

サンゴの生態系は、魚の住み処や産卵場、餌場など海にとって欠かせない役割を持っています。

 

<サンゴの役割>

  • 魚の住み処:魚類が外敵から身を守れる住み処となる
  • 産卵&育成場:外敵から身を守れるほか、餌の供給も受けられる
  • 餌場:サンゴに集まる小魚などを餌とする生物が集まる

 

サンゴは海のオアシスとも呼ばれ、海の生き物の約1/4はサンゴ礁域で暮らしているとされています。食物連鎖の土台として活躍しているため、海洋生物を食べる人間にとっても、有益な生物と言えるでしょう。漁業はもちろん、観光資源としてもサンゴは活用されているので、自然や人にとってなくてはならない存在です。

サンゴの特徴は2種類に大別される

サンゴは多種多様な種類が生息しているものの、特徴別に以下の2種類にわけられます。

 

<サンゴの種類>

  • ハードコーラル:硬い骨格を持つ
  • ソフトコーラル:柔らかい骨格(細かい骨片)を持つ

 

「サンゴの生態」で解説した造礁サンゴの大部分はハードコーラルに該当し、体内に硬い骨格を持っています。成長すると、テーブル状や枝状など、環境に応じた形のサンゴ礁を形成します。一方、ソフトコーラルは硬い骨格がなく、柔らかい身体を持つサンゴです。水中で身体がユラユラ揺れているサンゴがいれば、ソフトコーラルに該当する可能性があります。

 

ダイバーなら知っておきたい!サンゴの種類・特徴

ダイバーなら知っておきたい、おすすめのサンゴの種類・特徴について解説します。サンゴの種類・特徴を知っていれば、海の見方や潜る目的など、楽しみ方の幅を広げられます。

ミドリイシ

ミドリイシ科のサンゴについて、特徴を見ていきましょう。

 

【ミドリイシの特徴】

項目

内容

分布

和歌山県、高知県、長崎県、石垣島など

特徴

形状や大きさは環境に応じて異なる

※テーブル状、枝状など

緑や黄色、ピンク色などさまざま

 

ミドリイシ科のサンゴは日本でも広く分布しているので、ダイビング中に見かけることがあるかもしれません。さらに、ミドリイシは種類が多く、一ヶ所に複数種が生息しているケースもあります。多種多様な色彩を放っているため、見応えのあるサンゴと言えるでしょう。

ハマサンゴ

ハマサンゴ科のサンゴについて、特徴を見ていきましょう。

 

【ハマサンゴの特徴】

項目

内容

分布

種子島より以南

※種子島では数が少ない

特徴

・数メートルの群体を形成する

・1.5~2㎜程度のポリプが全体に敷き詰められている

クリーム色、淡褐色など

 

ハマサンゴは、岩のようにゴツゴツしており、数メートルの大きな群体を形成します。種類によっては枝状に伸びている個体もいますが、どのハマサンゴも大きなポリプが並んでいるのが特徴です。

ハナサンゴ

ハナサンゴ科のサンゴについて、特徴を見ていきましょう。

 

【ハナサンゴの特徴】

項目

内容

分布

奄美大島より以南

特徴

・管状の触手で覆われている

・夕方~夜には触手が縮む

白、ピンク

 

ハナサンゴはフラワーコーラルとも呼ばれ、その名のとおり植物の花のように触手が広がるサンゴです。白やピンクなど美しい色合いのサンゴが多いため、フォトジェニックな写真を撮影できるでしょう。ただし、奄美大島より以南に生息しており、数も多くないため、出会えるケースは少ないかもしれません。

ウミトサカ

ウミトサカ類のサンゴについて、特徴を見ていきましょう。

 

【ウミトサカの特徴】

項目

内容

分布

薩南諸島、沖縄など

※日本海でも見つかった個体あり

特徴

・身体全体が柔らかい

・ニワトリのトサカに似ている

・リボン状、キノコ状、シート状など多種多様な形が存在する

赤、黄色、オレンジなど

※身体の本体部分は透明感がある

 

ウミトサカ類のサンゴはソフトコーラルに属しており、柔らかい群体(身体)を持っています。身体は多肉質で、種類によって色も異なります。鮮やかな色をしたカリフラワーのようなイメージなので、海中でもひと際目立つサンゴです。ハードコーラルのサンゴとは違った形状をしているため、見かけた際はぜひ写真に収めてみてください。

 

ダイバーは知っておくべき!サンゴ観察時の注意点

ダイビング・シュノーケリング中にサンゴを観察する際は、以下のポイントに注意しましょう。

 

<サンゴ観察の注意>

  • サンゴに直接触らない
  • サンゴを踏まない
  • サンゴを採取しない
  • 海底の砂を巻き上げない

 

サンゴは非常にデリケートな生き物で、少し触れただけでもその箇所は死滅する恐れがあります。そのため、手で触ることはもちろん、足で踏む、一部を切り取って持ち帰るなどはNGです。また、サンゴに砂がかかると、ポリプへダメージを与える可能性もあります。サンゴの成長へ悪影響を及ぼしかねないため、サンゴのある海中ではフィンをバタつかせないよう注意しましょう。

「サンゴの重要性」でも解説したとおり、サンゴは人にとっても欠かせない生き物です。大切に扱えるよう、注意点は必ず守りましょう。

 

サンゴに刺されたときの対処法

サンゴに刺されたときは速やかに医療機関を受診して、どのような形状のサンゴに刺されたのかを説明しましょう。「サンゴとは?確認された種類と基礎知識」で解説したように、サンゴはクラゲなどと同じ刺胞生物で、毒性は強くないものの小さな毒針を持っています。刺されると、軽度の痛みや何らかの皮膚症状(ブツブツや水ぶくれなど)を引き起こします。

ただし、アナサンゴモドキと呼ばれる種類のサンゴには強い毒性があり、火傷のような痛みや吐き気、腹痛などの症状を伴うケースも少なくありません。形状は通常のサンゴと差はありませんが、ポリプの収まる穴(サンゴ特有のブツブツ)は目視できないほど小さいことが特徴です。このように、種類によって毒性の強弱が異なるケースもあるので、医療機関を受診する際は、サンゴの形状についても細かく説明しましょう。

 

まとめ

サンゴは日本にも数百種生息しており、その多くは沖縄県の近海で観察できます。沖縄県はダイビングスポットも多いので、サンゴ礁の観察を目的としたダイビングもおすすめです。ただし、サンゴの観察には注意点もあります。ダイビングを始める前は「ダイバーは知っておくべき!サンゴ観察時の注意点」にも目を通し、サンゴを守りながら観察しましょう。

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