ウミヘビは毒があり危険!ダイビング中の応急手当の方法や予防法を解説
海の中には多種多様な生き物が暮らしており、生き物の姿を間近で観察できるのもダイビングの魅力のひとつです。しかし、海の生き物の中には毒を持つものもいるため、毒の被害に遭わないよう気をつけなければいけません。今回は、毒を持つ海の生き物のひとつである「ウミヘビ」について、生体や毒の威力、咬まれない方法や応急手当の方法について解説していきます。
Contents
毒を持つ海の生き物「ウミヘビ」
ウミヘビと聞くと、名前だけでも恐怖心を抱く方も多いのではないでしょうか。ウミヘビの中には陸上のヘビのように毒を持つ種類のものいますが、中には毒を持たないものも存在します。ウミヘビの毒の被害に遭わないためにも、まずはウミヘビの生態や毒について詳しく見ていきましょう。
ウミヘビの生態
ウミヘビと呼ばれる生き物には、爬虫類のウミヘビと魚類のウミヘビの2種類が存在しています。毒を持つウミヘビは爬虫類のウミヘビであり、有鱗目コブラ科に分類され、世界の河川や海に生息しています。爬虫類のウミヘビは沖縄などの暖かい海でよく見られ、日本に生息する主な爬虫類のウミヘビは主に約6種類です。
一方魚類のウミヘビは毒を持っておらず、ウナギ目ウミヘビ科に分類されます。日本では約30種類の魚類のウミヘビが生息しており、沖縄や伊豆、紀伊半島などさまざまな地域で観察できます。
毒がある爬虫類のウミヘビと、毒がない魚類のウミヘビは、ヒレと鼻管の有無で違いを見分けましょう。爬虫類のウミヘビはヒレがなく、鼻管はありません。一方、魚類のウミヘビには、ヒレも鼻管もついています。海底でウミヘビを見かけたら、まずはヒレと鼻に注目してみましょう。どちらにも何もついていない場合は、毒のあるウミヘビである確率が高いです。
ウミヘビの毒の特徴
種類によってウミヘビの毒の威力は異なりますが、爬虫類のウミヘビの中には、コブラの数十倍の強さの毒を持つ種類もいます。基本的に攻撃性が少ないため、何もなければ攻撃されることはありませんが、ふざけて追いかけたり触ろうとしたりすると、咬まれる可能性が高いです。
一部のウミヘビの毒は神経毒であり、咬まれると以下の症状が現れます。
- 全身の倦怠感
- 筋肉痛
- 運動障害
- 呼吸困難
- 麻痺
最悪の場合は死に至ることもあるため、爬虫類のウミヘビを見かけても、興味本位で近づくのは避けましょう。
ダイビング中にウミヘビに咬まれない方法
ウミヘビに咬まれると死に至る可能性もあるため、ダイビング中の対策を知り自分の命を守りましょう。ウミヘビに咬まれないようにする方法には、以下の2つが挙げられます。
- ウミヘビに近づかない
- ウミヘビに触れない
ウミヘビに近づかない
ウミヘビは攻撃性の弱い生き物ですが、クロガシラウミヘビなどの一部のウミヘビは、比較的攻撃的な特徴を持っています。ダイバーの姿を見るだけで向かってくることもあるため、ウミヘビを見かけても決して近づかないようにしましょう。魚類のウミヘビには毒がありませんが、近くに行かなければ見分けられません。その間に咬まれる可能性もゼロではないため、念のためどの種類のウミヘビでも近づかないことが無難です。
ウミヘビに触れない
ウミヘビに触れようとすると、自分の身を守ろうとして攻撃される可能性が高いため、高確率で咬まれてしまいます。ウミヘビの毒は非常に強力であるため、一度咬まれてしまうと命に大きく関わるかもしれません。ニョロニョロと動いている姿は興味深いかもしれませんが、ウミヘビを見つけても触ろうとするのはやめましょう。
ウミヘビに咬まれたときの応急手当の方法
万が一ダイビング中にウミヘビに刺されてしまった場合、すぐに以下の流れで応急処置を行いましょう。
- STEP1:すぐに浮上する
- STEP2:患部を紐で縛る
- STEP3:お湯に浸す
- STEP4:医療機関を受診する
すぐに浮上する
ウミヘビに咬まれた場合、すぐに浮上してボートの上やビーチに避難しましょう。ウミヘビに咬まれても痛みや腫れなどの症状が少ないため、「案外大丈夫かもしれない」とダイビングを続ける方がいるかもしれません。しかし、ウミヘビに咬まれると30分前後で呼吸困難や血圧降下、全身麻痺などの症状が現れるので、ダイビングを継続するのは危険です。
患部を紐で縛る
浮上後安全な場所に移動したら、咬まれた部分より心臓に近い部分を、紐できつく縛ります。咬まれた部分を紐で縛ることで、患部から毒を出す効果があります。ただし、毒には直接触れないよう気をつけましょう。
医療機関を受診する
ウミヘビの毒は非常に危険であり、放置すると命の危険もあります。患部を紐で縛っても毒が残っている可能性が高いため、すぐに医療機関を受診しましょう。
ダイビング中に遭遇する可能性のあるウミヘビの種類
日本にはさまざまな種類のウミヘビが生息しているため、どのような種類に出会う可能性があるかを把握することで、ウミヘビの毒から逃れやすくなります。ダイビング中に遭遇する可能性の高いウミヘビには、以下の種類が挙げられます。
- エラブウミヘビ
- ヒロオウミヘビ
- アオマダラウミヘビ
- クロガシラウミヘビ
- イイジマウミヘビ
エラブウミヘビ
エラブウミヘビは沖縄の海でよく見られる種類のウミヘビであり、九州や四国の海でも遭遇されています。体長は70〜150cmで、茶色と白色のシマ模様が特徴です。攻撃性は低いですが、ハブよりも70〜80倍強い神経毒を持っているため、咬まれたら重体になる可能性があります。海の中だけでなく陸上にいることも多く、ビーチや岩場なども注意しましょう。
ヒロオウミヘビ
エラブウミヘビと同じく沖縄の海でよく見られるのが、青色と黒色のシマ模様が特徴的なヒロオウミヘビです。体長70〜120cmで身体は細長く、主に夜間に活動します。攻撃性は高くないですが強い神経毒を持っているため、追いかけたり触ったりすることは避けましょう。
アオマダラウミヘビ
アオマダラウミヘビは、沖縄本島や離島、奄美大島などで見られる種類のウミヘビです。体長は80〜150cmと比較的大きく、薄い青色と黒色のシマ模様で黄色の口先が特徴です。ほかのウミヘビと同じく攻撃性は低いですが、触れたりつかんだりすると、反撃してくることがあります。強い神経毒を持っているため、咬まれないよう注意が必要です。
クロガシラウミヘビ
クロガシラウミヘビは、沖縄の沿岸でよく見られる種類のウミヘビであり、昼間の海の中で遭遇する可能性が高いです。体長は80〜140cmで身体は細長く、薄い黄色と黒色の模様を持っています。ほかのウミヘビと比べると攻撃性が高く、ダイバーの姿を見かけただけで襲ってくる可能性もあるほどです。コブラの数十倍以上の毒性があると言われているため、見かけた場合は近づかずその場から離れましょう。
イイジマウミヘビ
沖縄の海でよく見られるイイジマウミヘビは、昼行性で海の中に暮らす種類のウミヘビです。体長は50〜90cmでやや太く、ほかのウミヘビと比べると小さめのサイズです。性格は温厚で警戒心が弱く、ダイバーから危害を与えなければ、咬みつくことはめったにありません。ほかのウミヘビとは異なり、歯がほとんど退化しているため咬まれる心配はほとんどありませんが、むやみに触るのは避けましょう。
まとめ
海の中にはさまざまな種類の生き物が暮らしていますが、中にはウミヘビのように毒を持つ生き物も存在しています。ウミヘビは人を死に至らすほどの強力な毒性を持っているため、ダイビング中は今回ご紹介した方法を参考に、咬まれないよう気をつけましょう。万が一咬まれてしまった場合は、冷静に応急手当を行い、直ちに医療機関を受診してください。
ダイビング中は、毒だけでなくさまざまな危険が潜んでおり、被害に遭わないためには正しい知識と技術が不可欠です。ダイビングライセンスを取得することで、自分の身を守り快適かつ安全なダイビングができるようになります。ダイビングライセンスの取得は、ぜひ「東京ダイビングスクール Beyond」にお任せください。世界基準以上の講習を、19,800円で受講できます。