海の生き物
2023年12月18日

日本で見られるクマノミは何種類?クマノミの生態や種類別の特徴を解説

クマノミ

ダイビングやシュノーケリングを始めるとき、目的のひとつとなるのが海中生物の観察です。中でもクマノミは映画や広告などでも登場するため、「一度は海中で見ておきたい」と思う方もいるでしょう。

そこで今回は、日本に生息するクマノミの種類や特徴について解説します。生息するエリアや見た目の特徴などもあわせて解説するため、これからダイビング・シュノーケリングを始める方はぜひ参考にしてみてください。予備知識を持っておけば、クマノミを危険に晒すことなく、安全な海中遊泳にもつながります。

 

クマノミとは?

クマノミとは、スズキ目スズメダイ科クマノミ属に分類され、オレンジ色の身体に2本の白い線が入った、見た目の美しい魚です。

映画や広告などのイメージで、同じ色味をした魚の総称がクマノミと思われるかもしれませんが、あくまでも特定の個体を指す名称です。種類によって、カクレクマノミやハマクマノミなど名称が異なるほか、身体の大きさ・色なども違います。次項からは、クマノミの生態・特徴、種類について解説します。

クマノミの生態

クマノミは、オス・メスで1組のペアを作り、イソギンチャクと共生しながら小さな社会を形成して生活しています。その社会の中では、以下のように序列が決められます。

 

<クマノミの序列>

  • 1位:メスのクマノミ(身体が最も大きい個体)
  • 2位:オスのクマノミ、未成魚
  • 3位以下:上記に含まれないクマノミ

 

上記の1・2位のクマノミだけが繁殖活動に加わり、産卵を行います。1位のメスが何らかの理由で除外された場合、2位のオスが性転換してメスとなり、序列1位へ繰り上がる仕組みです。

上記のとおり、クマノミは性転換機構を持つ珍しい生き物で、生まれながらに性別が決まっていません。成長過程や社会構造の変化によって性別・序列が決められます。

クマノミを海中で見つけた際は、身体の大きさも含めて観察してみましょう。「オス・メスの判別」や「序列1位の個体はどれか?」なども含めて観察すると、よりダイビング・シュノーケリングを楽しめるようになります。

クマノミはイソギンチャクと共生する

クマノミはイソギンチャクと共生関係にあり、お互いにメリットをもたらしながら生活しています。

 

【クマノミとイソギンチャクの共生関係】

種類

生態

クマノミ

・イソギンチャクの周囲を泳いで新鮮な海水を提供

・イソギンチャクを天敵から守る

イソギンチャク

・クマノミを天敵から守る

・クマノミが卵を産める環境を提供

 

イソギンチャクの触手には毒があり、触れた魚をマヒさせます。しかし、クマノミはイソギンチャクに餌と認識されない粘液をまとっているため、イソギンチャクの触手に潜りこんでも毒の影響を受けません。そのため、クマノミはイソギンチャクの触手内で安全に生活できます。

また、イソギンチャクを捕食する天敵が侵入した場合、クマノミは縄張りに入ってきた天敵と判断して追い払います。これが、クマノミとイソギンチャクの共生関係です。

日本のクマノミは6種類

日本で確認されたクマノミは、以下の6種類です。

 

<日本のクマノミ6種>

  • クマノミ
  • カクレクマノミ
  • ハマクマノミ
  • セジロクマノミ
  • ハナビラクマノミ
  • トウアカクマノミ

 

どのクマノミも千葉県以南、沖縄(奄美大島や琉球列島など)に生息しています。次項から、各クマノミの特徴や生息地について詳しく解説します。

 

日本で見られるクマノミ6種の特徴

日本で見られるクマノミ6種について、特徴や生息地を見ていきましょう。ダイビング・シュノーケリングなどでクマノミを観察したい方は、基本的な知識を頭に入れておくと見つけやすくなるほか、安全にクマノミを観察できます。

クマノミ

クマノミは国内でも広い地域に生息しており、ダイビング中に遭遇しやすい種類です。クマノミの特徴について見ていきましょう。

 

【クマノミの特徴】

項目

特徴

生息域

・千葉県の以南(太平洋岸)

・琉球列島

・小笠原諸島

見た目

オレンジの身体に白い線が2本入っている

※環境により身体の色は異なる

体長

約12㎝

オス・メスの見分け方

・オス:黄色がかった色

・メス:白がかった色

 

生息する環境によって身体の色が異なるものの、2本の白い線はどのクマノミにも共通する特徴です。さらに、他の種類に比べてサイズが大きく、強い性格をしています。海中でクマノミを見つけても、手を出して触ることは控えましょう。

カクレクマノミ

カクレクマノミはサイズが小さくかわいらしい見た目をしているため、観賞用としても人気な種類です。カクレクマノミの特徴について見ていきましょう。

 

【カクレクマノミの特徴】

項目

特徴

生息域

奄美大島の以南

見た目

オレンジの身体に白い線が3本入っている

体長

約6~10㎝

オス・メスの見分け方

・オス:尾ビレが黄色

・メス:尾ビレが白

 

カクレクマノミは、サンゴ礁域にあるイソギンチャクと共生しています。臆病な性格なので、危険を察知するとイソギンチャクの中へすぐに隠れます。サンゴ礁を探す際は、慎重にゆっくり動きながらカクレクマノミを探してみましょう。

ハマクマノミ

ハマクマノミは暖かい海を好み、奄美大島の以南に生息する種類です。ハマクマノミの特徴を見ていきましょう。

 

【ハマクマノミの特徴】

項目

特徴

生息域

・小笠原諸島

・土佐湾

・トカラ列島

・琉球列島

・南大東島

見た目

・オレンジや褐色

・頭部に太く白い線が1本入っている

体長

約12㎝

オス・メスの見分け方

・オス:鮮やかなオレンジ色

・メス:濃い褐色

 

ハマクマノミも他のクマノミと同様、イソギンチャクと共生しています。見た目に特徴があるため、同じエリアに他のクマノミがいても見分けやすいでしょう。

セジロクマノミ

名前にもあるとおり、セジロクマノミは背中に白い線が入ったクマノミなので、海中でも簡単に見分けられます。セジロクマノミの特徴は次のとおりです。

 

【セジロクマノミの特徴】

項目

特徴

生息域

沖縄の以南

見た目

・オレンジ色

・背中に白い線が1本入っている

体長

約8~15㎝

オス・メスの見分け方

 

セジロクマノミは、サンゴ礁や岩礁にいるイソギンチャク(ハタゴイソギンチャクなど)に住んでいるクマノミです。臆病な性格をしており、危険を感じるとすぐにイソギンチャクの中へ隠れてしまいます。海中で見つけても安易に近づかず、離れた場所から観察しましょう。

ハナビラクマノミ

ハナビラクマノミは潮の流れが良いところに生息しており、身体は他の種類より小柄なタイプです。ハナビラクマノミの特徴を見ていきましょう。

 

【ハナビラクマノミの特徴】

項目

特徴

生息域

奄美大島の以南

見た目

・褐色~赤色

・頭部に細く白い線が1本入っている

体長

約7~8㎝

オス・メスの見分け方

 

ハナビラクマノミは他のクマノミと違い、身体の線が細いことが特徴です。浅い海域にあるイソギンチャク(シライトイソギンチャク)と共生しており、自分の住み処からあまり離れません。ハマクマノミやセジロクマノミと同じエリアに住んでいますが、見た目が特徴的なので見分けやすいです。

トウアカクマノミ

トウアカクマノミは希少な種類であり、海中でもなかなか出会えないかもしれません。トウアカクマノミの特徴は、次のとおりです。

 

【トウアカクマノミの特徴】

項目

特徴

生息域

沖縄県の以南

見た目

・頭部はオレンジ色

・身体は黒色

・白く大きなまだら模様がある

・分厚い身体を持つ

体長

約10~13㎝

オス・メスの見分け方

 

トウアカクマノミは内湾の砂底にあるイソギンチャクと共生しており、ダイビング中でも出会えるチャンスが少ない希少な種類です。名前と見た目が一致している(頭部がオレンジ)ため、見つけたときは簡単に見分けられます。

 

まとめ

クマノミはかわいらしい見た目をしていますが、厳しい自然環境の中で生き残る術を身につけた強い生き物です。ダイビング・シュノーケリングの際は、「クマノミとは?」で解説した内容も頭に入れておくと、より観察が楽しめるでしょう。

さらに、クマノミの種類・特徴も含めて把握しておけば、ダイビング・シュノーケリングで気をつけるべきポイントも見えてきます。クマノミは種類によって性格や生活環境が異なるため、安全に海中遊泳を楽しめるように特徴を理解しておきましょう。

ダイビングの正しい知識・技術を身につけたい方は、ぜひ「東京ダイビングスクール Beyond」をご利用ください。2003年の開校以来、「初心者でも安心して受講できる」と受講者の方々からうれしい口コミをいただいてきました。

料金は19,800円(各種経費すべて込み)、最短4日間でダイビングライセンスを取得できるカリキュラムです。学科・実技ともに丁寧な指導を行いますので、ダイビングを始めたい方はぜひ弊社のダイビングスクールをご利用ください。