海の生き物
2023年12月23日

ゴンズイの毒に要注意!刺されたときの応急処置や予防法を紹介

ゴンズイ
ダイビングは美しい海の中を探索するだけでなく、多種多様な海洋生物に会うのも魅力のひとつです。しかし、海の中には毒を持つ生き物も多く存在するため、被害に遭わないように予防や刺されたときの応急処置の方法を知っておかなければいけません。今回は、海の生き物「ゴンズイ」について、毒の威力や刺されたときの症状、刺されない方法や応急処置について解説していきます。

 

毒を持つ海の生き物「ゴンズイ」

毒を持つ海の生き物は多くいますが、今回はゴンズイについて詳しく解説していきます。

ゴンズイの生態

ゴンズイはナマズ目ゴンズイ科に分類される海水魚であり、赤みのある身体に頭から尾びれまで、まっすぐ伸びた2本の黄色の線が特徴です。ナマズのようにひげが生えているため、初めて見た方はナマズと勘違いしてしまうかもしれません。群れをなして生活しており、ゴンズイ玉と呼ばれることもあります。

ゴンズイは基本的に夜行性であり、夜になると活動を始め、獲物を捕食します。見た目はかわいらしい姿をしていますが毒を持つ魚であり、胸びれや尾びれにある大きなトゲに刺されると、毒が回って危険です。房総半島から九州南岸の太平洋沿岸で多く見られ、日本海側にはあまり生息していません。

ゴンズイ毒の特徴

ゴンズイの毒は非常に強力で、最悪の場合は命に関わる可能性もあります。ゴンズイが死亡した後も毒には効力があるため、たとえ生きていなくても取り扱いには十分に注意しましょう。ゴンズイのトゲは鋭いため、布の上からでも刺されることもあります。

ゴンズイのトゲに刺されると、火傷のような強い痛みに襲われ、刺された箇所が腫れ上がります。2回以上刺されると、アナフィラキシーショックを起こすかもしれません。見た目はかわいらしい魚ですが非常に危険であるため、とくに太平洋沿岸をナイトダイビングするダイバーは刺されないよう警戒しましょう。

 

ダイビング中にゴンズイに刺されない方法

ゴンズイに刺されると、最悪の場合命の危険にも及ぶため、ダイビングをおこなう際は警戒する必要があります。ダイビング中ゴンズイに刺されないようにするためには、以下の3つの方法を実践しましょう。

 

  • ゴンズイに近づかない
  • ゴンズイを触らない
  • インストラクターの指示に従う

 

ゴンズイに近づかない

ゴンズイに刺されないための一番の予防法は、不用意にゴンズイに近づかないことです。観察だけと思って近づいても、潮の流れで身体が動いたりバランスが崩れたりして、ゴンズイを威嚇してしまうかもしれません。ゴンズイを威嚇すると防御のために攻撃してくる可能性が高く、毒のあるトゲで刺されてしまいます。ゴンズイは美しいですが触れると危険なため、安全な距離を保ってゴンズイに近づかないよう心掛けましょう。

ゴンズイを触らない

ゴンズイを見つけたからといって、触れてしまうと高確率で刺されてしまいます。ゴンズイに刺されなくてもトゲに触れるだけで危険なため、後ろからそっと触れるなどの行為も避けましょう。実は、ゴンズイの被害はダイバーでなく釣り人のほうが多く、ダイバーはゴンズイを捕まえようとしないため、刺されることはほとんどありません。しかし、触ろうとするとゴンズイに威嚇されていると勘違いされてしまい、刺される可能性が高まります。

インストラクターの指示に従う

ダイビングツアーに参加する場合、インストラクターやガイドが生き物について詳しく解説してくれることも多いです。そのときに触らない、もしくは近づかないなどの指示を受けた場合は、その指示に従いましょう。インストラクターやガイドは地域の生き物に詳しく、ゴンズイなどの危険な生き物もすぐに見分けられます。ダイバーの安全を守るために適切な指示を出しているため、必ず従うようにしましょう。

 

ゴンズイに刺されたときの応急処置のポイント

万が一ダイビング中にゴンズイに刺されてしまった場合、すぐに以下の流れで応急処置をおこないましょう。

 

  • STEP1:トゲを取り除く
  • STEP2:傷口を清潔にする
  • STEP3:お湯に浸す
  • STEP4:医療機関を受診する

 

トゲを取り除く

ゴンズイに刺された場合、トゲが患部に残っている可能性があります。目に見える大きなトゲがある場合は、ピンセットなどを使ってトゲを取り除きましょう。素手で触るとさらに毒の被害が強くなってしまうかもしれません。取り除いたトゲは新聞紙などに包み、安全な場所へ捨てましょう。

傷口を清潔にする

傷口を水で洗い、海水や砂などを取り除きます。この際も傷口に触れないよう、十分な注意を払いながらおこないましょう。

お湯に浸す

ゴンズイの毒による症状は、お湯に浸すことで痛みを緩和できます。刺された場所を40〜50℃程度のお湯につけ、痛みを和らげましょう。30〜60分ほどお湯に浸すと、痛みが和らぎます。お湯の温度が下がってきたら、火傷しないよう注意しながらお湯を足していきましょう。

医療機関を受診する

ゴンズイに刺された場合、毒の影響が全身に及ぶ可能性があるため、できるだけ早く皮膚科などの医療機関を受診することが大切です。痛みや腫れが和らいだ場合も、念のため医療機関を受診しましょう。時間をおくと毒の効果が強くなるかもしれないため、すぐに医療機関を受診するのが重要です。

 

ダイビング中に出会うゴンズイ以外の毒のある生物

海の中にはゴンズイ以外にも、さまざまな毒を持つ生き物が生息しています。ダイビング中に遭遇しやすい毒を持つ生き物には、以下が挙げられます。これらの生き物を見かけた場合は、ゴンズイと同じく近づかず触らないよう注意しましょう。

 

  • クラゲ
  • ファイヤーコーラル
  • ミノカサゴ
  • イソギンチャク
  • オニヒトデ

 

クラゲ

美しい外見を持つクラゲは、水族館などでの人気も高いですが、多くの種類のクラゲが触手に毒を持っているため、ダイビング中に見かけても触らないよう気をつけましょう。とくに、カツオノエボシやハブクラゲと呼ばれる種類のクラゲは強い毒を持っており、最悪の場合は命に関わることもあります。クラゲが多い時期や地域では肌の露出を控え、周りに注意しながらダイビングをおこなうことが大切です。

ファイヤーコーラル

ダイビング中は色とりどりな数々のサンゴを目にしますが、サンゴの中にも毒を持つ危険な種類のものがあります。ファイヤーコーラルと呼ばれるサンゴは、黄色やオレンジ色の美しい外見とは裏腹に強い刺胞毒を持っており、触れると火傷のような強い痛みを感じます。直接触れなくても刺される場合があるので、ダイビング中にファイヤーコーラルを見つけたら、近づかないよう気をつけましょう。

ミノカサゴ

ひらひらと美しいヒレが特徴のミノカサゴですが、美しい背びれと腹びれには猛毒が潜んでいます。刺されると激しい痛みを感じるため、写真を撮ろうと近づきすぎないように気をつけましょう。近づきすぎなければ、ミノカサゴから攻撃してくることはほとんどありません。

イソギンチャク

イソギンチャクにはさまざまな種類があり、ハナブサイソギンチャクやウンバチイソギンチャクと呼ばれる種類は毒を持っています。イソギンチャクはきれいで華やかな見た目をしておりついつい触りたくなりますが、毒を持つイソギンチャクに触れると激しい痛みや水疱、かゆみが生じる可能性があるため、触れないように観察だけに留めましょう。

オニヒトデ

トゲトゲした見た目のオニヒトデも、毒を持つ海中生物のひとつです。刺されると激痛が走り、重症時は呼吸困難や心肺停止に陥ることもあるため、オニヒトデを見かけたら近づかないよう気をつけましょう。ウェットスーツやグローブを身につけていても、トゲが貫通する可能性もあり危険です。

 

まとめ

ダイビングは、さまざまな海洋生物に出会える魅力あふれるアクティビティですが、中には毒を持つ生き物も多く存在しています。ゴンズイもかわいらしい見た目とは裏腹に、命に関わるほど危険な毒を持っているため、ダイビングをおこなうときは、今回ご紹介した方法を参考にしながら十分に注意しましょう。

ダイビング中は、毒以外にもさまざまな危険が待ち受けているため、正しい知識と技術が必要です。知識と技術を養うためにも、ダイビングライセンスを取得して、自分自身を守りながらダイビングを楽しみましょう。「東京ダイビングスクール Beyond」では、安全にダイビングをおこなうために一般的な講習よりも時間が長く、質の高いトレーニングをご用意しております。