海の生き物
2023年12月16日

イルカの平均寿命はどれくらい?水族館と野生の違いも解説

イルカ
イルカは水族館でも飼育され、実際に見たことがある人も多いかと思います。しかし、「何歳まで生きるのか」「水族館と野生では寿命に違いがあるのか」など、詳しい生態については知らないかもしれません。

そこで今回は、イルカの平均寿命について、野生・水族館での違いも含めて解説します。イルカの種類別に特徴・平均寿命も解説しているので、イルカのことをより深く知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

また、野生のイルカを観察できるスポットについても紹介しています。「イルカはどこで見られるのか」「イルカの生態系を間近で知りたい」といった方はチェックしてみてください。

 

水族館と野生のイルカは寿命が異なる

水族館と野生のイルカでは、それぞれ平均寿命が異なるとされています。

 

<平均寿命の違い>

  • 水族館:平均7~18年
  • 野生:30年以上

 

ただし、上記はあくまでも観測上の記録であるほか、イルカによって個体差もある点に注意が必要です。たとえば、沖縄美ら海水族館のミナミバンドウイルカは、47年以上飼育された実績があります。

あくまでも参考値とした上で、次項からは水族館・野生それぞれのイルカがどのように異なるのか、寿命にフォーカスしながら解説します。

水族館のイルカの寿命は平均7~18年

水族館のイルカが短命な理由は、環境的な要因からくる精神的ストレスと言われています。イルカ(バンドウイルカ)の行動範囲は約100㎢/日とされており、東京ドーム約2,100個分に相当します。

一方、水族館の水槽は大きくても約1,000㎡(0.001㎢)なので、海のように泳げる環境ではありません。自然とは異なる環境で生活するため、ストレスを抱えたイルカは体調不良を起こすケースもあるとされています。ただし、必ずしも水族館が悪い環境とは言い切れません。水族館の場合、イルカの天敵はおらず、健康状態の管理も徹底して行われます。

前述したように、水族館でも長寿のイルカがいます。環境的なストレスにより寿命の短い個体はいるかもしれませんが、飼育されるすべてのイルカが短命ではありません。

野生のイルカの寿命は平均30年以上

個体差はあるものの、野生のイルカは平均30年以上生きると言われています。ただし、野生の場合は天敵(シャチやホッキョクグマなど)に襲われるケースがあるほか、調査が難しいため具体的な寿命は把握できていません。

イルカの寿命調査には、「出生からの年齢を数える」という方法が取られてきましたが、この方法では調査以前に生まれたイルカの年齢は把握できません。しかし、近年イルカのお腹にある模様を見るだけで年齢を推定できる方法が発見されたため、今後は明確な寿命を把握できる可能性があります。

 

種類別のイルカの特徴・平均寿命

イルカの種類別に、特徴や平均寿命を解説します。種類によって生態や寿命は差があるため、イルカについてより詳しく知りたい方はチェックしてみましょう。

バンドウイルカ

バンドウイルカは世界中の海に生息しており、日本でも観察しやすいイルカです。バンドウイルカの特徴を見ていきましょう。

 

【バンドウイルカの特徴】

項目

内容

平均寿命

約30~40年

生息域

世界中の海(南極・北極を除く)

※日本近海では鹿児島や天草、小笠原諸島など

見た目の特徴

・体長は2~3m

・身体はずんぐりと大きい

・背ビレや胸ビレは先にいくほど細い

 

世界の広い地域に生息しており、日本でも九州地方の近海で多く見られる種類です。水族館はもちろん、スキューバダイビングやクルージングツアーなどでも観察できます。

シロイルカ

シロイルカは寒い地域に生息しており、全体が白一色の可愛らしい見た目をしたイルカです。シロイルカの特徴を見ていきましょう。

 

【シロイルカの特徴】

項目

内容

寿命

約40年

生息域

北極海など寒いエリア

見た目の特徴

・体長は4~5.5m

・イルカ特有の背ビレがない

・身体はずんぐりと丸く全体が白い

 

シロイルカは北極海などの寒い地域に生息していますが、国内でも一部の水族館で飼育されています。他のイルカにある特徴(背ビレや黒色など)はないものの、知能の高いイルカです。

スジイルカ

スジイルカはその名のとおり、身体の横に筋(ストライプ模様)の入ったイルカで、国内でも広い地域に分布しています。スジイルカの特徴を見ていきましょう。

 

【スジイルカの特徴】

項目

内容

寿命

約60年

生息域

熱帯~亜熱帯(インド洋や地中海など)

※日本では三陸沖や四国沿岸、これら地域より以南

見た目の特徴

・体長は2.2~2.6m

・体型とクチバシが細い

・身体の横に黒いストライプ模様がある

 

スジイルカは寿命が長く、世界でも200万頭を超える数が生息していると言われています。飼育が難しい種類ではあるものの、自然界では観察しすいイルカと言えるでしょう。

マダライルカ

マダライルカは暖かい海に生息しており、沖縄近海などで観察できるイルカです。マダライルカの特徴を見ていきましょう。

 

【マダライルカの特徴】

項目

内容

寿命

約40年

生息域

熱帯~亜熱帯地域

※日本では沖縄近海~宮城県の海域

見た目の特徴

・体調は1.6~2.6m

・身体の広範囲にまだら模様がある

 

南は沖縄県、北は新潟県(日本海側)・宮城県(太平洋側)までの海域に生息しています。暖かい地域に生息するイルカなので、沖縄近海で最も多く観察される種類です。

 

野生のイルカが観察できるスポット

日本国内で、野生のイルカが観察できるスポットを紹介します。イルカは寿命の長い個体が多いものの、混獲(非対象の生物を漁獲すること)や水質汚染などが原因で数が減少しているイルカもいます。動物愛護の観点からイルカについてより深く知りたい方は、野生のイルカウォッチングにも参加してみましょう。

北海道のスポット

北海道の根室海峡・噴火湾などでは、春~秋にかけてイルカを観察できるツアーが開催されています。観察できるイルカの種類は次のとおりです。

 

【主に観察できるイルカ】

イルカの種類

時期

カマイルカ

初夏~初秋

イシイルカ

春・秋

ネズミイルカ

冬~春

 

室蘭沖(噴火湾)では、7月前後に高確率(90%以上)でイルカに遭遇しやすくなります。ツアー内容によって遊覧できるエリアは異なるため、事前に旅行会社・ツアー会社の詳細を確認しておきましょう。

関東(東京・千葉)のスポット

東京は小笠原諸島、千葉は銚子でイルカを観察できます。観察できるイルカの種類を見ていきましょう。

 

【主に観察できるイルカ】

イルカの種類

スポット

時期

カマイルカ

銚子(沖合)

4~5月

スジイルカ

マイルカ

バンドウイルカ

セミイルカ

イシイルカ

スナメリ

銚子(沿岸)

通年

ミナミバンドウイルカ

小笠原諸島

小笠原諸島

通年

通年

ハシナガイルカ

 

千葉県銚子市・小笠原諸島では、ほぼ通年で複数種のイルカを観察できます。小笠原諸島の場合、イルカを海中から観察できる「ドルフィンスイム」も楽しめます。ドルフィンスイムのツアーも1年中開催されているので、間近でイルカを観察したい方は参加してみましょう。

九州(熊本)のスポット

熊本県天草市には、ほぼ通年イルカを観察できます。生息しているのは主にミナミバンドウイルカで、天草市の五和町二江周辺には約200頭出没します。

ベストシーズンは春~夏、イルカとの遭遇率は約90%以上です。イルカは群れをなして回遊しており、運が良ければ生まれたばかりのイルカと遭遇する可能性もあります。野生のイルカが生活している姿を目の前で見たい方は、熊本県天草市へ足を運んでみましょう。

沖縄のスポット

沖縄の海は温暖なので、暖かい気候を好むイルカと出会える可能性があります。沖縄に出没するイルカの種類は、次のとおりです。

 

【主に観察できるイルカ】

イルカの種類

場所

時期

シワハイルカ

沖縄近海

※石垣島、沖縄本島の近海など

マダライルカ

 

沖縄県では、辺戸岬や慶良間諸島などにダイビングスポットがあり、泳いでいる最中に野生のイルカと遭遇する可能性があります。沖縄本島にはイルカ・クジラのウォッチングツアーもあるので、イルカも含めた野生の海洋生物を観察できるでしょう。

 

まとめ

水族館と野生ではイルカの寿命に違いがあると言われていますが、あくまでも観測上の寿命です。水族館でも長寿のイルカが飼育されているため、「水族館の環境が悪いのではないか」と誤解のないようにしましょう。

イルカについてより深く知りたい方は、「野生のイルカが観察できるスポット」で解説したイルカを観察できるスポットへ足を運んでみましょう。野生ならではの躍動感あるイルカを目の前に観察できます。また、スポットによっては、ダイビングでイルカと一緒に泳げる可能性もあります。

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