海の生き物
2023年11月30日

ダイビングで会える海洋生物|ウミウシの種類や会える場所を解説

青いウミウシ
海の世界を探索できるダイビングの魅力のひとつが、海の中のかわいらしい生き物に出会えることです。海にはさまざまな生き物が生息していますが、一際カラフルな生き物を目にしたことはないでしょうか。そのカラフルな生き物は、ウミウシかもしれません。今回は、ウミウシの特徴や魅力、日本で見られるウミウシの種類やウミウシを見るためのベストスポットについて解説していきます。

 

ウミウシとは

ウミウシとは、海の中に生息する軟体動物の一種です。ウミウシは貝殻がない状態の巻貝に分類され、貝殻が縮小・埋没・消失した生き物が、総称してウミウシと呼ばれるのが一般的です。漢字で書くと「海牛」と表し、頭にある触覚が牛のように見えることが由来とされています。

一口にウミウシと言ってもさまざまな種類があり、大きく分類すると8つの種類にわけられます。

 

  • 頭楯類
  • 嚢舌類
  • アメフラシ類
  • 背楯類
  • 裸鰓目ドーリス類
  • 裸鰓目ミノウミウシ類
  • 裸鰓目タテジマウミウシ類
  • 裸鰓目スギノハウミウシ類

 

ウミウシは世界各地に生息しており、5,000〜6,000種以上の種類がいるユニークな動物です。種類によって大きさや食性もさまざまであり、見た目の色や模様も大きく異なります。

ウミウシの魅力

ウミウシの大きな魅力は、海の宝石とも呼ばれる色とりどりのカラフルさです。2色以上使われているウミウシが多く、まるでアート作品のような見た目が多くの方を魅了しています。ウミウシは海岸や浅瀬にも生息しており、初心者ダイバーでも簡単に見つけられるため、人気が高い海の生き物の一種です。

日本ではどこでウミウシを見られる?

ウミウシは、北海道から沖縄まで日本各地で観察できます。北海道では知床や羅臼、積丹、沖縄では本島全域から宮古島や石垣島まで、広い範囲で生息しています。ただし、場所によって見られる種類のウミウシは異なるので注意しましょう。

ウミウシは、岩礁や砂地に住んでいることが多いです。深い海に行くと、さまざまな種類のウミウシを観察できるので、深度を変えながら探してみましょう。ウミウシは暗いところを好む性質があるため、岩陰の中を探すことで見つけやすくなります。そのため、ナイトダイビングでも見つかりやすい生物です。

ウミウシが見られる時期

日本国内に生息しているウミウシは、水温が冷たい12〜4月にかけて多く見られます。この時期は日本の海に海藻が多く生い茂り、草食性のウミウシが増えるからです。それに伴い肉食性のウミウシも現れるため、さまざまな場所でウミウシに出会えます。ウミウシの繁殖期は2〜4月であるため、運が良ければこの時期にウミウシの卵が見られるかもしれません。

 

日本で見られる代表的なウミウシの種類

5,000種類を超えるウミウシですが、日本ですべての種類を見られるわけではありません。日本で見られる代表的なウミウシには、以下の10種類が挙げられます。

 

  • アオウミウシ
  • ウデフリツノザヤウミウシ
  • カンナツノザヤウミウシ
  • サガミリュウグウウミウシ
  • ミカドウミウシ
  • ミアミラウミウシ
  • コンペイトウウミウシ
  • ガーベラミノウミウシ
  • スミゾメミノウミウシ
  • イチゴミルクウミウシ

 

アオウミウシ

ウミウシと聞いて多くの方が想像するのが、青い身体に黄色の模様がついたウミウシではないでしょうか。このウミウシはアオウミウシと呼ばれ、沖縄県を除く日本全域に生息しています。黄色の模様は点状や線状など個体によって大きく異なり、黒色の模様が入るウミウシもいます。

ウデフリツノザヤウミウシ

ウデフリツノザヤウミウシは、黄色の身体に黒い模様がピカチュウに見えることで、多くのダイバーから人気の高い種類のウミウシです。日本では房総半島より南の場所に生息しており、秋から春にかけてシーズンを迎えます。

カンナツノザヤウミウシ

ウデフリツノザヤウミウシと同じく、黄色い身体に黒の模様が特徴的なカンナツノザヤウミウシですが、ウデフリツノザヤウミウシと異なり、黒の模様が多い特徴があります。日本では本州沿岸で生息しているほか、海外ではマレーシアやインドネシア、フィリピンなどで観察できます。

サガミリュウグウウミウシ

青い身体に黄色模様の毒々しさが特徴のサガミリュウグウウミウシは、相模湾で最初に発見されたためこの名がつけられました。沖縄をはじめ、日本のさまざまな場所で観察できます。

ミカドウミウシ

身体の色は個体によって異なり、赤色や淡い黄色、赤紫色などさまざまです。身体をくねらせて動くことから、英語ではフラメンコの衣装に見立てて「スパニッシュダンサー」と呼ばれています。夜行性であり、体長は60cmにも達するほどウミウシの中では大型サイズです。日本では、房総半島より南で観察できます。

ミアミラウミウシ

ミカドウミウシと同じく個体によって身体の色は異なり、紫色や赤色、青色、緑色とさまざまな個体が存在しています。ミアミラウミウシの特徴は、ひだの外側が大きく波打っていることであり、大きい個体だと体長が70cmに達することもあります。日本での生息地は、房総半島より南の暖かい場所です。

コンペイトウウミウシ

身体は半透明な乳白色で、突起の先端が黄色に染まったウミウシです。触覚とえらには黒い模様が入っており、黄色の突起部分が金平糖に見えることから、この名がつけられました。日本では沖縄や八丈島に生息しており、沖縄では冬から春にかけて、八丈島では春先に深い場所で見られます。

ガーベラミノウミウシ

半透明な身体の上に、えのきのような白い突起が並ぶウミウシです。大きい個体では、60cmに達することもあります。佐渡より南の本州中部に生息しているため、さまざまな場所で観察できます。

スミゾメミノウミウシ

暗い褐色から黒色の身体に長い突起がついた種類のウミウシで、細長い身体が特徴です。黒い身体とは対照的に、フリルのようなピンク色の卵塊を産みます。日本では、相模湾や富山湾より南の場所で観察できます。

イチゴミルクウミウシ

ピンク色や青紫色の身体を持つウミウシで、背中にはクリーム色の幅広い線が3本入るのが特徴です。そのほかの場所には赤紫色やオレンジ色、白色の模様が点在しており、触覚とえらは赤色と白色で構成されています。日本では沖縄本島の中部で生息しており、ダイバーに人気の高いウミウシの一種です。

 

ダイビングでウミウシを観察するベストスポット

ウミウシは日本各地の海に生息しているため、ダイビングでさまざまな種類のウミウシに会えます。しかし、中でもとくにウミウシが多く生息しているのが、以下の3つの場所です。この場所でダイビングをすることで、運が良ければ数多くのウミウシに出会えます。

 

  • 沖縄本島・金武町
  • 静岡県・浮島
  • 神奈川県・三浦半島

 

沖縄本島・金武町

日本の中でも暖かい海域を持つ沖縄本島には数多くのウミウシが生息していますが、中でも金武町のレッドビーチと呼ばれるダイビングポイントでは、30種類以上のウミウシが観察できます。レッドビーチは砂地・泥地のポイントなので、透明度が良いわけではありません。しかし、数多くのウミウシが生息しているためダイバーに人気の高い場所です。レッドビーチでは、以下のウミウシを見られます。

 

  • キカモヨウウミウシ
  • ホシゾラウミウシ
  • マダライロウミウシ
  • ヒブサミノウミウシ
  • センテンイロウミウシ など

 

静岡県・浮島

静岡県の西伊豆にある浮島は、ボート・ビーチどちらでも楽しめるダイビングスポットです。ダイナミックな地形が特徴であり、さまざまな種類のウミウシが見られることでも知られています。浮島周辺のダイビングショップでは、ウミウシを見るためのナイトダイビングを開催しているところも多いです。ナイトダイビングを行うことで、昼間では見られないようなウミウシを観察できます。浮島で会えるウミウシは、以下が挙げられます。

 

  • ヒメエダウミウシ
  • カスミミノウミウシ
  • ゼニガタフシエラガイ
  • エダウミウシ
  • コヤナギウミウシ など

 

神奈川県・三浦半島

神奈川県の三浦半島は、東京湾・相模湾・黒潮の3つの潮が混ざり合う場所のため、さまざまな生き物に出会えます。中でも人気の高い生き物のひとつが、海の宝石と呼ばれるウミウシです。岩の断層のような変わった地形もあるため、ウミウシ以外にもさまざまな遊び方ができるダイビングポイントです。そんな三浦半島で出会えるウミウシには、以下の種類が挙げられます。

 

  • キャラメルウミウシ
  • クリヤイロウミウシ
  • カトウイロウミウシ
  • フジイロウミウシ
  • サラサウミウシ など

 

まとめ

世界に6,000種類以上存在するウミウシは、種類によって色や模様が大きく異なるため、海の宝石と呼ばれダイバーからの人気が高い海の生き物です。日本だけでも全国各地でさまざまな種類のウミウシを観察でき、とくに今回ご紹介した3つの場所は、ウミウシの天国とも言われています。さまざまな種類のウミウシを見たい方は、ぜひ一度訪れてみましょう。

ウミウシを見るためには、ダイビングのスキルが必要です。正しいダイビングの知識とスキルを身につけるなら、講習を受けてライセンスを取得しましょう。「東京ダイビングスクール Beyond」では、世界基準以上のスキルと知識を19,800円で学べます。