海の生き物
2023年11月27日

ダイビングで会える海洋生物|マナティ・ジュゴンに会いに行こう!

マナティ ジュゴン
美しい海の世界を楽しめるダイビングでは、海の中でしか見られない海洋生物に出会えることも魅力のひとつです。海の中で出会える海洋生物にはさまざまな種類がありますが、今回は愛らしいシルエットや動作が人気の「マナティ」「ジュゴン」について解説していきます。マナティとジュゴンの違いやそれぞれと出会える場所、マナティ・ジュゴンと一緒に泳ぐ場合の注意点について見ていきましょう。

 

マナティとジュゴンの違い

一見見た目が似ているマナティとジュゴンですが、実はそれぞれ違う科目の動物であることをご存じでしょうか。まずは、マナティとジュゴンのそれぞれの特徴について解説していきます。

マナティとは

マナティは海牛目マナティ科に分類される哺乳類であり、浅瀬に生える海草や水草を主食とする水の中で生息している動物です。マナティは世界に3つの種類があり、「アメリカマナティ」と「アフリカマナティ」は淡水・海水どちらでも生息できます。3種類の中で一番小さな「アマゾンマナティ」は淡水にのみ生息し、大きなコミュニティを形成するのが特徴です。

マナティは絶滅危惧種に指定されている動物であり、アメリカなど一部の国ではマナティを保護する法律が制定されています。西洋ではマナティが人魚のモデルになったとも言われており、日本では沖縄県の美ら海水族館や三重県の鳥羽水族館、静岡県の熱川バナナワニ園などで見られる動物です。

ジュゴンとは

ジュゴンは海牛目ジュゴン科に分類される哺乳類であり、亜熱帯から熱帯の浅く暖かい海に生息している動物です。主にインド洋と太平洋の海域に生息しており、日本でも沖縄で50頭程度のジュゴンが生息していると言われています。しかし、米軍基地の移設計画などの理由で日本のジュゴンは絶滅が危惧されています。

東洋ではマナティではなく、ジュゴンが人魚のモデルになったと言われる動物です。日本では、三重県の鳥羽水族館でジュゴンが飼育されています。

マナティとジュゴンの違い

一見すると同じ動物に見えるほど姿が似ているマナティとジュゴンですが、以下のような違いがあります。

 

  • 尾びれの形
  • 胸びれの形
  • 口の向き
  • 皮膚の柔らかさ
  • 大きさ
  • 生息地

 

尾びれの形

マナティとジュゴンが並んでいた場合、尾びれの形を見分けることですぐに判断できます。マナティの尾びれは先端が丸くうちわ状になっており、ジュゴンの尾びれはイルカのように2つにわかれた三角形です。そのためマナティの泳ぐスピードは遅く、ジュゴンは早く泳げます。

胸びれの形

マナティの胸びれには肘のようなものがあり、人間みたいに曲げられます。実際にマナティは水草を持つように口へ運ぶのが特徴です。胸びれの先には、爪もついています。しかしジュゴンの胸びれには肘も爪もついていません。

皮膚の柔らかさ

マナティは皮膚が厚く、ごつごつした硬さが特徴です。そのため苔やフジツボがつきやすく、野生のマナティを見ると岩に見間違えるかもしれません。一方ジュゴンの皮膚は滑らかであり、短い毛が生えています。ただし、アマゾンマナティはほかのマナティと違い滑らかな皮膚をしています。

口の向き

マナティは主に水中に浮かんでいる水草を主食とするため、水草を食べやすいよう正面に口がついています。しかしジュゴンは海草を掘り起こして食べるため、口が下を向いているのが特徴です。

大きさ

マナティの体長は約3〜4.5m、ジュゴンの体長は約2.4〜3mとマナティの方がややサイズが大きいです。マナティの中には、重さが約1トンにもなるサイズ感の個体もいます。

生息地

アメリカマナティとアフリカマナティは海水と淡水が交わる汽水域と呼ばれる場所に、アマゾンマナティは淡水域に基生息しています。一方ジュゴンは海域に生息しており、生息地は大きく異なります。ジュゴンは日本の沖縄県で生息が発見されていますが、マナティは日本には生息していません。

 

野生のマナティに会える場所

世界には野生のマナティが生息している場所があり、そこに行けばマナティに出会えます。多くの海洋生物はダイビングをしないと会えませんが、マナティは浅瀬に生息しているため、シュノーケリングで簡単に見られるのが特徴です。野生のマナティに会える人気のスポットが、アメリカ・フロリダ州のクリスタルリバーです。

アメリカ・フロリダ州のクリスタルリバー

クリスタルリバーは、アメリカ・フロリダ州の北部に位置する川です。クリスタルリバーは国立野生生物保護区に指定されており、マナティに会うにはプロの同行が欠かせません。そのため、日本や現地で開催されているツアーを利用しましょう。

クリスタルリバーでマナティが見られる時期は、10月中旬~3月頃が目安です。クリスタルリバーは年間を通じて水温22度と暖かいため、快適にシュノーケリングを楽しめます。日本からは、オークランド空港まで飛行機で訪れそこから車で2時間程度走ると到着します。

 

ダイビングでジュゴンに会える場所

野生のジュゴンに出会うには、以下の2つの場所でのダイビングがおすすめです。

 

  • フィリピンのブスアンガ島
  • インドネシアのアロール島

 

ジュゴンは主にインド洋と太平洋の海域に生息しているため、日本から距離が遠くない場所でジュゴンに会うことができます。

フィリピンのブスアンガ島

ブスアンガ島はフィリピンのパラワン諸島の北側に位置し、フィリピン最後の秘境とも言われる場所です。現地のガイドと一緒にボートに乗り、ジュゴンの位置を発見したらそのポイントでダイビングを行います。ブスアンガ島にはジュゴンだけでなく、ウミガメやバラクーダの群れなどさまざまな海の生き物たちが生息しています。ジュゴンに出会えなくても、魅了的なダイビングスポットのひとつです。

日本からブスアンガ島へは、マニラかセブ島から国内線でアクセスするのが一般的です。日本からマニラ・セブ島へは約4.5時間、それぞれの場所からブスアンガ島までは約1.5時間で行けます。

インドネシアのアロール島

インドネシアの東ティモールにあるアロール島にも、野生のジュゴンが生息しています。2017年の調査ダイビングではジュゴンとの遭遇率は100%であり、高確率でジュゴンに会いたい方にはおすすめのスポットだと言えます。海の中が美しいため、たとえジュゴンに会えなくてもダイビング自体を楽しむことも可能です。

アロール島へのアクセスは、日本からジャカルタまで飛行機で行き、国内線でバリ島を経由してティモール島まで飛びます。そこからさらに国内線でアロール空港へ向かい、車で1時間ほど走ると港に到着です。少し道のりは面倒ですが、高確率でジュゴンを見たい方は一度訪れてみてはいかがでしょうか。

 

マナティやジュゴンを見る際の注意点

マナティやジュゴンを見る際は、以下の3つのポイントに注意しましょう。

 

  • 生態に影響を与えない
  • 追いかけたり触ったりしない
  • 勝手に餌を与えない

 

生態に影響を与えない

マナティやジュゴンを観察する際は、彼らの生態に影響を与えないよう注意しましょう。マナティもジュゴンも数が減っている動物であり、マナティに至っては絶滅危惧種に指定されています。ダイバーによるストレスの影響で生態に影響を与えてしまい絶滅する可能性もあるため、過度なストレスを与える行動は避けましょう。

追いかけたり触ったりしない

マナティやジュゴンを追いかけたり、触ったりすることは避けましょう。野生のマナティやジュゴンは人間の接触に慣れておらず、追いかけられたり触られたりすると、ストレスを感じてしまいます。実際、クリスタルリバーのマナティスイムでは、「両手でマナティを触ってはいけない」「マナティの進行方向をふさがない」などのルールが定められています。

勝手に餌を与えない

マナティやジュゴンに近寄ってほしいからといって、勝手に餌をあげてはいけません。マナティやジュゴンは自然に生えている水草や海草を食べるため、食事をしている姿を高確率で見られます。身体に合わない食事を与えることで健康を害する可能性もあるため、勝手な餌やりは避けましょう。

 

まとめ

ダイビングなどの海中でのアクティビティでは、野生のマナティやジュゴンなどのかわいい海洋動物に会えるのも魅力のひとつです。日本では野生のマナティやジュゴンに出会うことは難しいですが、今回ご紹介した3つのポイントに訪れると、マナティとジュゴンの愛らしい姿を観察できます。現地のルールや注意事項を守り、マナティ・ジュゴンを観察しましょう。

マナティやジュゴンは浅瀬に生息するため難しいダイビングスキルは不要ですが、中には出会うためにダイビングの技術や経験が必要な海洋動物もいます。多くの海洋動物に出会いたい方は、正しい技術と知識を学ぶためにも、ダイビングライセンスを取得しましょう。「東京ダイビングスクール Beyond」では、世界基準以上の良質なカリキュラムを19,800円で学ベます。