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2023年11月10日

船酔い防止には三半規管を鍛えることが大切!家での鍛え方を紹介

女性の耳
美しい海の世界を楽しめるダイビングですが、移動している船の上や水面で船酔いや波酔いを経験したことのある方は多いのではないでしょうか。実は船酔いや波酔いは、三半規管に原因があるかもしれません。

三半規管を正しく鍛えることで、ダイビング中の船酔いや波酔いが防げます。今回は、三半規管の役割やダイビングとの関係、鍛えるメリット、家での鍛え方について解説していきます。

 

三半規管とは?

三半規管とは、耳の中にある器官の名前です。耳には以下の3つの半規管があり、それらの器官を総称して三半規管と呼ばれています。

 

  • 外側半規管
  • 前半規管
  • 後半規管

 

外側半規管は左右と横方向の水平回転、前半規管と後半規管は、それぞれ上下と縦方向に垂直回転を感知します。3つの半規管があることで、三次元的にあらゆる回転運動を感知できるのです。

三半規管の役割と仕組み

三半規管の主な役割は、頭や身体が回転した際の方向と速さを感知することです。「歩く」「走る」「回る」「ジャンプする」など、身体をさまざまな方向や向きに動かしても平衡を保てるのは、三半規管によって身体の方向や速さが感知され、バランスが修正されるからです。

三半規管の中はリンパ液で満たされており、頭や身体が回転することでリンパ液が流れ、回転した情報を脳に伝えています。三半規管が鍛えられていれば、どういった動きでもバランスを保てますが、異常があれば身体が回転するようなめまいなどの症状が起こります。

ダイビングと三半規管の関係

ダイビングでの船酔いや波酔いは、実は三半規管に大きく関係しているのです。船や波などの不規則な動きによって頭や身体が過剰に動くことで、三半規管が捉えた情報と目から入る情報にずれが生じてしまいます。その結果、脳が情報を処理しきれず自律神経が乱れ、吐き気や嘔吐などの船酔い・波酔いの症状が起こるのです。

 

三半規管を鍛えるメリット

三半規管を鍛えるメリットには、以下の3つが挙げられます。

 

  • 平衡感覚が養われる
  • 乗り物酔いを軽減させる
  • めまいがしにくくなる

 

平衡感覚が養われる

三半規管を鍛えることで、平衡感覚が向上します。たとえばアイススケートの選手は、くるくる回ってもバランス良くジャンプなどの技を決めていますが、このような技ができるのは、三半規管を鍛えて平衡感覚が養われているためです。平衡感覚はあらゆるスポーツに重要な要素であり、ダイビング中でも身体のバランスを保つことは非常に重要となります。

乗り物酔いを軽減させる

三半規管を鍛えることで、頭や身体の揺れを感知しやすくなるため、乗り物酔いを軽減させる効果もあります。乗り物酔いをしやすい方は、ダイビング中の船酔いや波酔いも起こりやすく、ダイビングを全力で楽しめません。「ダイビングに興味はあるけど船酔いが心配」という方は、三半規管を鍛えると船酔いや波酔いを予防できるかもしれません。

めまいがしにくくなる

めまいの原因の約60%が耳であり、耳が原因のめまいの多くは三半規管が関係しています。三半規管が原因で起こるめまいにはさまざまな種類がありますが、主なめまいの症状は回転するようなめまいを起こす「良性発作性頭位めまい症」や、長時間のめまいが何度も繰り返される「メニエール病」などです。三半規管を鍛えることで、めまいが起きる確率を減らせます。

 

三半規管の鍛え方

三半規管は、トレーニングを行うことで鍛えられます。トレーニングといっても筋トレのようなハードなものではなく、日常生活で簡単に行える動作ばかりです。三半規管を鍛えることによって、上記で紹介したメリットを得られるため、普段の生活から三半規管を鍛えるトレーニングを積極的に行いましょう。

 

  • 寝返りを打つ
  • 目を動かす
  • まっすぐ歩く
  • 回転椅子に座る
  • 四股を踏む

 

寝返りを打つ

特別なトレーニングを行わなくても、三半規管は鍛えられます。三半規管を鍛えるための簡単な動作のひとつが、寝返りです。寝返りを打つと、頭や身体が過剰に動くため平衡感覚が鍛えられ、三半規管の機能が強化されます。

床に仰向けに寝転がり、左右に何度か寝返りを打ってみましょう。最初は気持ち悪くなるかもしれませんが、動きに慣れて三半規管が鍛えられます。寝返りは左右の運動ですが、前後に動くでんぐり返しや後ろ回り、頭を振るなどの動作も効果的です。

目を動かす

目の動きと三半規管は密接に関係しており、目を訓練することで三半規管の機能を鍛えられます。三半規管に効果的な目の動かし方は2つあり、ひとつは頭を動かさず目だけで指先を追う方法です。

椅子に座り腕を前に伸ばして人差し指を立て、腕を大きく左右に動かしましょう。頭を固定しながら目だけで指先を追うことで、三半規管が鍛えられます。左右の次は上下に腕を動かし、合わせて20回を2セット行うと、効果の高いトレーニングができます。

もうひとつの効果的な目の動かし方は、目は動かさず頭を動かして指先を追う方法です。椅子に座り腕を前に伸ばして人差し指を立て、人差し指を見つめながら頭を左右に動かします。左右の次は頭を上下に動かし、目の動きと指を固定させた状態で頭の身を動かします。この動作を20回2セット行うことで、三半規管の強化に効果的です。

まっすぐ歩く

一直線に歩く行動も、三半規管を鍛えるトレーニングになります。まっすぐ立ち、つま先に反対側の足のかかとをつけながら一直線に歩きましょう。1分間を目安に2セット行うことで、三半規管が鍛えられます。フラつく場合は無理をせず、壁などを使って行うと安全です。さらに、目を閉じて歩く行為も三半規管を鍛えることができます。慣れてきたら目を閉じた状態で、後ろ向きで歩いてみましょう。

回転椅子に座る

オフィスなどで使われる回転椅子を使うことで、乗り物などの不規則な動きに慣れて三半規管を鍛えることができます。回転椅子にまっすぐ座り、左右両方に動かしましょう。慣れたらスピードアップして、さらに三半規管を鍛えましょう。

回転椅子を使ったトレーニングは、かつては宇宙飛行士の乗り物酔い予防のトレーニングとしても使われていました。自ら不規則な動きに慣れることで、三半規管が鍛えられ、車酔いやめまいの予防につながります。

四股を踏む

背筋を伸ばして足を大きく開き、膝に手をついて四股を踏みます。足はできるだけ高くゆっくり上げ、左右交互に繰り返しましょう。朝10回、夜40回程度を目安で行うことで、三半規管の効果的なトレーニングができます。

 

三半規管を鍛える注意点

ダイビング中の船酔いや波酔いを軽減するためにも、ダイバーにとって三半規管を鍛えることは大切です。しかし、三半規管を鍛える場合は以下の3つに注意しましょう。

 

  • 転倒事故などに気をつける
  • 規則正しい生活を心がける
  • 三半規管を鍛えても船酔いが起こることはある

 

転倒事故などに気をつける

今回ご紹介した三半規管を鍛えるトレーニングは激しいものは少ないですが、目をつぶったり頭や身体をあらゆる位置に動かしたりと、日常生活では普段あまり行わないような動きが多いです。とくに目をつぶる運動を行う際は、転倒などの事故が起こらないよう気をつけましょう。トレーニング中は乗り物酔いのような気分の悪さやめまいが起こることもあるため、無理をせずにできる範囲で行うことが大切です。

規則正しい生活を心がける

三半規管はトレーニングで鍛えられますが、ストレスに弱い性質があるため、ストレスを感じているといくらトレーニングをしても鍛えられません。心配なことがあったり、疲れが溜まっていたりすると過剰に反応することがあるため、三半規管を鍛えるには規則正しい生活も大切です。トレーニングに合わせて、栄養バランスの取れた食事や十分な睡眠などに意識することで、めまいや乗り物酔いなどの症状を軽減できます。

三半規管を鍛えても船酔いが起こることはある

三半規管を鍛えても、100%めまいや乗り物酔いの症状が起こらないわけではありません。とくにめまいの症状がダイビング中に起こると、命にかかわることもあるため、普段からめまいの症状に苦しめられている方は専門外来への受診も検討しましょう。

 

まとめ

三半規管は耳の中にある3つの器官の総称であり、頭が動いたときの方向と速さを感知する役割があります。三半規管が弱いと平衡感覚が乱れ乗り物酔いが起きやすくなり、ダイビング中の船酔いや波酔いの原因にもなります。今回ご紹介した三半規管を鍛える方法を参考に、三半規管を鍛えてダイビング中の船酔いや波酔いを予防しましょう。

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