BCDはダイビングに欠かせない機材!自分にあった種類や選び方とは
海の中で息をしながら美しい世界を楽しむダイビングでは、水中で陸上のような行動をするためにさまざまな機材を使用します。そのうちのひとつがBCDであり、BCDがなければ浮いたり沈んだりすることが簡単にはできません。今回は、BCDの役割や正しい使い方、選び方について解説していきます。
Contents
BCDとは?
BCDはスキューバダイビングに使われる機材であり、主に浮力をコントロールする役割があります。ダイビング中は目的の深度まで潜降したり、ダイビングが終わったら浮上したりと、上下に移動する場面が多くあります。しかし、深く潜れば潜るほど身体は浮きにくくなり、身体やウェットスーツの浮力だけでは海面まで戻れません。
BCDの内部には空気袋があり、その中の空気を出し入れすることで浮力をコントロールします。沈みたい場合はBCDの空気を抜き、浮きたい場合はBCDに空気を入れると、水深に応じた浮力を安定させられるのです。BCDはベスト状になっており、タンクと背中の間に背負って着用します。
BCDの役割
ダイビングにおけるBCDの役割は、主に以下の3つです。
- 浮力の調整
- 安定性の維持
- 緊急時の浮上
■浮力の調整
人間の身体は水面で浮くため、海の中を潜降するためにウエイトを身につけます。しかし、海に潜ると身体の浮力が減ってしまうので、海面でつけていた重さのウエイトでは沈んでしまうのです。人間は肺呼吸で浮力をコントロールできますが、肺の容量は限られているため、ウエイトをつけているときには補えません。そのときに浮力を調整するのが、BCDの大きな役割のひとつです。
■安定性の維持
ダイビング中は「中性浮力」と呼ばれる、浮きもせず沈みもしない状態を保つ必要があります。ダイビング中、写真撮影や生き物観察など、さまざまな理由で一定の場所に留まりたい方は少なくありません。その際に中性浮力が取れないと、身体が浮いたり沈んだりしてしまいます。BCDを使うと中性浮力が取れるようになり、海の中での安定性が維持されます。
■緊急時の浮上
ダイビング中、体調不良などのトラブルが起きたときは、BCDに空気を入れることで即座に浮上できます。ただし、急浮上は肺の過膨張や減圧症のリスクが高まるため、緊急時であっても安全停止を行いながらゆっくり浮上しましょう。BCDに空気を充填させれば、水面での休息や救命胴衣の役割も担えます。
BCDの正しい使い方
水中で適切な浮力コントロールを取るためにも、BCDは正しく利用しましょう。BCDの適切な使い方は、以下のとおりです。
- STEP1:BCDの空気をすべて抜き潜降する
- STEP2:水深3m程度でBCDに少しずつ空気を入れる
- STEP3:空気を少しずつ出し入れして浮力を調整する
- STEP4:水深が変わるたびBCDの空気量を変える
- STEP5:BCDの空気を少しずつ抜きながら浮上する
BCDに空気が入っていると沈めないため、潜降時はすべての空気をBCDから抜きます。しかし、水深3m程度に達すると、水圧により自然に沈んでいけるので、中性浮力を保ちながら沈むためBCDに空気を少しずつ入れていきましょう。
目的の深度まで潜降したら、中性浮力が保てるようにBCD内の空気を調整します。水深が変わるたび中性浮力が取れなくなるため、水深が変化するたびにBCDの浮力を微調整しましょう。
浮上時は、BCDの空気を少しずつ抜きながら浮き上がります。水深があがると水圧が弱まり、BCD内の空気が膨張するため、急浮上のリスクが高まるためです。少しずつ空気を抜きながら、ゆっくり浮上することが大切です。
インフレーターホースの使い方
BCDの空気の出し入れは、インフレーターホースを使って行います。一般的なBCDにはインフレーターホースが左肩の後ろ側についており、先端にあるボタンを使って空気を出し入れします。空気を入れるときは給気ボタン、空気を出すときは排気ボタンを使いましょう。万が一タンクのエアーがなくなった場合は、インフレーターホースを口に入れて空気を入れることも可能です。
緊急時の操作方法
ダイビング中は水深が一定でないため、泳いでいるうちに水圧が下がり、BCDの中の空気が膨張して浮きやすくなることがあります。通常時は排気ボタンを使って、少しずつ空気を抜けば浮きすぎることを防げますが、排気ボタンでは浮上を制御できない場合、ダンプバルブを使って一気に空気を排出しましょう。多くのBCDの場合、肩や腰についた紐を引っ張るとダンプバルブが開きます。
BCDで上手に浮力をコントロールするためのコツ
初心者ダイバーの中には、BCDを使ってもうまく浮力をコントロールできない方も少なくありません。BCDで上手に浮力をコントロールするためには、以下の3つのコツを押さえておきましょう。
- 少しずつ空気を出し入れする
- 適切なウエイトを身につける
- 微調整は呼吸で行う
少しずつ空気を出し入れする
BCDは、インフレーターホースを通って空気を溜めたり抜いたりするため、ボタンを押してから若干のタイムラグが生じます。そのタイムラグを考えずボタンを押し続けると、想像以上に空気が入ったり出たりするため、急浮上と急潜降のリスクが高まります。BCDの空気を出し入れする際は、少しずつ慎重に行いましょう。
適切なウエイトを身につける
BCDで浮力をコントロールするには、適切なウエイトを身につけることも重要です。ウエイトが軽すぎると空気をすべて抜いても沈みにくく、重すぎるとBCDに大量の空気を入れる必要があるため、バランスが取りにくくなります。BCDの給気や排気が多くなると、中性浮力の感覚がつかみにくくなるため、適切な重さのウエイトを身につけましょう。
微調整は呼吸で行う
浮力のコントロールは、BCDだけでなく呼吸でも行えます。BCDでは細かな空気の出し入れが難しいため、浮力コントロールが難しい場合は呼吸を使って調整しましょう。息を吸って肺に空気が溜まったら身体が浮きやすく、息を吐いて肺から空気がなくなれば、身体が沈みやすくなります。
BCDの選び方
BCDにはさまざまなタイプや製品があり、種類によって使い心地が大きく異なります。自分に合ったBCDを選ぶには、以下の3つのポイントを意識しましょう。
- 種類
- フィット感
- 機能性
種類
BCDには主に3つの種類があり、それぞれの違いや特徴は以下のとおりです。
- ジャケットタイプ:ジャストフィットで着用できて水中でのバランスが取りやすいが、紐の長さが調整できない
- フロントアジャスタブルタイプ:サイズ調整ができて着脱しやすい
- バックフロートタイプ:水中での水平姿勢が取りやすいが、水面で浮きにくい
浮力の位置に違いがあり、ジャケットタイプは全体が空気袋になっているため、バランスが取りやすいです。フロントアジャスタブルタイプは背中と腹部に、バックフロートタイプは背中に空気袋が位置し、それぞれバランスの取り方や安定性が異なります。
フィット感
BCDは、身体にぴったりフィットさせる必要があります。サイズやフィット感が合わないBCDを使用すると、ダイビング中に締めつけを感じる可能性があるため、BCDを選ぶ際は試着してフィット感を確認するのがおすすめです。
機能性
BCDには、ウエイトポケットがついていたり、排気がしやすかったりと、さまざまな機能を持つ製品も多くあります。これらの機能が必要かどうかを考慮し、機能性と予算を天秤にかけて購入を検討しましょう。ただしBCDの機能が多すぎる場合は、操作が複雑になる可能性もあります。
まとめ
BCDはダイビングにおいて欠かせない器材であり、浮力をコントロールする役割があります。今回ご紹介した正しい使用方法とBCDの選び方を参考に、安全で快適なダイビングを行いましょう。BCDでの浮力コントロールが難しい方は、3つのコツを試すのもおすすめです。
ダイビングを楽しむには、BCDなどダイビング機材の知識も必須です。このような知識を身につけダイビングを本格的に楽しみたい方は、ダイビングライセンスが取得できる「東京ダイビングスクール Beyond」をぜひご利用ください。SNSIプラチナダイブセンターとして、5年連続で表彰された実績があり、世界基準以上のスキルが身につきます。