海の世界を楽しむダイビングでは、日常生活では見られない美しい景色を目にできます。そんな美しい海の世界を、自分の目だけでなく写真でも残したいという方は多いのではないでしょうか。しかし、水中写真の上手な撮り方にはコツがあり、コツを知らないまま初心者が写真撮影をすると、失敗する可能性が高いです。今回は、初心者にもおすすめのダイビング中の写真の撮り方について解説していきます。
目次
ダイビングで楽しめる水中写真の種類
水中写真の撮り方にはさまざまな方法があり、ダイビングでは以下の5つの撮影方法がメインです。写真のイメージや撮りたいものに合わせて、適切な撮り方を選択しましょう。
マクロ撮影
マクロ撮影とは、小さなものを拡大して撮影する撮り方です。サンゴの細かいディティールや小さな海洋生物など、海の中にはマクロの世界が広がっています。そのような小さなものを撮影するのに適した撮影方法が、マクロ撮影です。
マクロ撮影は、基本的に被写体を画面いっぱいに撮る特徴があるため、天候や透明度に左右されないのがメリットです。海洋生物やサンゴなど物体に焦点を当てて撮影したい方は、マクロ撮影が適しています。
ワイド撮影
ワイド撮影とは、被写体を引きで撮影する撮り方です。大きな海洋生物や魚群、海の中の全体的な景色を撮る際に使われます。ダイバーと風景を一緒に撮る場合も、水中ワイド撮影が適しています。
さまざまな撮り方ができるため、構図やアングルを遊ぶことも可能です。画角が広いぶん、指や障害物など余計なものが入らないように注意して撮影しましょう。
ワイドマクロ撮影
ワイドマクロ撮影とは、被写体に接写できるレンズを使って、メインの被写体と背景を一緒に写す撮り方です。マクロ撮影は背景を写すことがほとんどできず、ワイド撮影では小さな被写体を写すことが難しいため、マクロ撮影とワイド撮影の良いところをとった撮影方法だといえます。
ワイドマクロ撮影では、主にフィッシュアイレンズなどの広角レンズを使って撮影します。小さい被写体をメインに、周辺の背景も一緒に写したいときは、ワイドマクロ撮影を行いましょう。
フロー撮影
フロー撮影とは、発光する海洋生物の特徴を活かした撮影方法です。海の中には、サンゴやイソギンチャクなど蛍光に発光する特徴を持つ生物が多く生息しています。これらの生物にブルーライトや紫外線ライトを照射して発光した状態を撮影するのが、フロー撮影です。フロー撮影では、海の中でしか見られない神秘的な景色を楽しめます。
スポットライト撮影
スポットライト撮影とは、通常全体に当てるストロボや水中ライトを、一箇所に集めて撮影する方法です。スポットライト撮影を行うと、明暗のコントラストが強調でき、光の当たった被写体へ視点を注目させられます。スポットライト撮影はスヌート撮影とも呼ばれ、ほかの撮り方よりも芸術的な写真になるのが特徴です。
ダイビングで写真をきれいに撮るための10のコツ
カメラ初心者でも、以下の10個のコツを押さえれば、ダイビング中に美しい水中写真を撮れます。
- はじめはオート撮影から行う
- 理想の写真のイメージを持っておく
- 撮った写真は都度確認する
- 機材の使い方に慣れておく
- ダイビングのスキルを高める
- 被写体になるべく近づく
- さまざまなアングルから撮影する
- ピントを合わせる
- フラッシュやストロボを活用する
- 砂を巻き上げないようにする
はじめはオート撮影から行う
カメラ初心者である場合、最初からイメージどおりの写真を撮るのは簡単ではありません。カメラ初心者の方は、水中写真に慣れて楽しむことを優先することが大切であるため、まずはオート撮影から行いましょう。
オート撮影とは、ピントや露出の設定などをすべてカメラ任せにする機能です。被写体との距離や背景の明るさに応じて、美しい写真が撮れる最適な設定で撮影できます。オート撮影にすることで、被写体ごとの設定を細かく気にする必要はなく、撮りたいものがあればシャッターを押すだけできれいな写真を撮れるのが特徴です。
理想の写真のイメージを持っておく
美しい写真を撮るには、理想のイメージを持っておくことが大切です。広い海の中にはさまざまな景色が広がっているため、撮りたいイメージが定まっていなければ、どの被写体をどのように撮るべきか迷ってしまいます。
「魚群を下からのアングルで撮りたい」「ダイバーと熱帯魚を中心にワイドマクロ撮影がしたい」などのイメージを持っていれば、そのイメージに沿った行動や機材の準備を行うことも可能です。ほかのダイバーが撮った写真などを参考にして、撮りたい写真をイメージしてみましょう。
撮った写真は都度確認する
撮った写真をすぐに確認することで、自分が撮りたかったイメージと実際の写真の違いを把握できます。たとえば、撮った写真が明るすぎていれば設定を変更する、ブレていればシャッタースピードを変更するなど微調整を行うことで、イメージに近い写真撮影ができます。
機材の使い方に慣れておく
カメラにはシャッタースピードや絞り値、ISO感度などさまざまな設定があり、使い方を知らないまま水中写真を撮ろうとしても、簡単には使いこなせません。オート撮影の場合は、シャッターを押すだけで写真を撮れますが、プレビューやさまざまな設定の変更は機材に慣れておく必要があります。水中だけでなく陸上でもカメラを触り、どのような設定があるのかを把握しておきましょう。
ダイビングのスキルを高める
美しい水中写真を撮るには、カメラの技術だけでなくダイビングの技術も必要です。たとえばダイビングに欠かせない中性浮力がとれなければ、サンゴや熱帯魚を止まって撮影できません。イメージどおりの水中写真を撮るためには、ダイビングのスキルも高めておく必要があります。
被写体になるべく近づく
熱帯魚などの小さな海洋生物を撮影する場合、被写体になるべく近づくことを意識しましょう。被写体に近づくことで海洋生物の表情を捉えられ、迫力ある写真に仕上がります。明暗がはっきりするコントラストが強い写真が撮れることも、被写体に近づく撮り方のメリットです。
さまざまなアングルから撮影する
同じサンゴであっても、真正面や下から、上からと違うアングルから撮ることで、思いもよらない良い写真が撮れることもあります。水中では浮力のコントロールができるので、多くのアングルから写真を撮れます。同じ被写体であっても、さまざまなアングルから撮影して、写真の可能性を探ってみましょう。
ピントを合わせる
ピントが合っていない写真は、いかに美しくても不完全な印象になってしまいます。海洋生物を撮る場合は目にピントを、水中の風景写真を撮る場合は見せたい被写体にピントを当てるように撮ることで、違和感がない美しい写真を撮れます。
フラッシュやストロボを活用する
海の中は陸上よりも光が入りにくく、光が入りにくいと青色が強い写真になります。とくに水深が深くなると光が届かないため、深い場所で水中写真を撮る場合は、フラッシュやストロボを活用しましょう。カメラにはフラッシュ機能が内蔵されているものもありますが、内蔵のフラッシュ機能だけでは限界があるので、外付けのフラッシュやストロボを試してみるのがおすすめです。
砂を巻き上げないようにする
ダイビング中、足が下がりフィンが海底にぶつかると、海底の砂が巻き上がってしまいます。砂が舞うと視界が悪くなり、写真の障害物になってしまうかもしれません。透明度が高くても、砂のせいで美しい写真が撮れない可能性もあるので、海底近くをダイビングする際は砂を巻き上げないように注意しましょう。
まとめ
美しい水中写真を楽しめるダイビングは、水中写真を撮ることも楽しみ方のひとつです。水中写真には5つの種類があり、被写体や写真のイメージに合わせて、適した撮り方を選択しましょう。水中写真を撮るにはテクニックが必要ですが、カメラ初心者の方でも、今回ご紹介したコツを押さえることで美しい写真を撮れます。
美しい写真を撮るには、ダイビングのテクニックも欠かせません。体験ダイビングだけではスキルを向上させることが難しいため、ライセンスをとるために技術や知識を身につけましょう。「東京ダイビングスクール Beyond」では、世界基準以上のスキルを29,800円で学びライセンスを取得できます。興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。