暖かい海であっても、ダイビングではウェットスーツの着用が必須です。しかし、ウェットスーツには多くの種類があり、どれを選ぶべきか迷ってしまう方も多いでしょう。
今回は、ウェットスーツの選び方を4つのポイントから解説していきます。自分用のウェットスーツを購入する予定の方は、ぜひ参考にしてください。
ウェットスーツとは
ウェットスーツとは、ゴム素材でできた特殊なスーツのことです。ダイビングだけでなくサーフィンやウェイクボード、シュノーケリングなど、さまざまなマリンスポーツやアクティビティで着用されます。
ウェットスーツの中には気泡が含まれており、断熱効果や浮力効果があるのが特徴です。
さまざまな種類があるため、ダイビングする環境や自分の身体に合わせて適切なものを選びましょう。
また、ダイビングではドライスーツと呼ばれるスーツもあります。ドライスーツとウェットスーツの主な違いは、体が濡れるか否かです。
ウェットスーツは着用した状態で水に入ると、スーツの中に水が入ってきて体が濡れます。対してドライスーツは、体が濡れません。
首元や手首が密着度の高い素材でできており、ブーツとスーツが一体になっているため、水を内部に一切侵入させないのです。
ドライスーツは水に濡れないというメリットがある一方で、体を動かしにくいという注意点もあります。そのため、慣れるまでは使用するのが難しいでしょう。
また、値段もウェットスーツより高めな傾向にあります。よって、動きやすさや安さを求める人は、ウェットスーツがおすすめです。
サーフィン用のウェットスーツとの違い
ダイビング用とサーフィン用のウェットスーツには大きな違いがあります。
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メリット |
デメリット |
ダイビング用ウェットスーツ |
・耐久性が高い ・保温性が高い |
・動きにくい ・柔軟性が低い |
サーフィン用ウェットスーツ |
・動きやすい ・柔軟性が高い |
・耐久性が低い ・保温性が低い |
ダイビングでは、体に大きな水圧がかかります。この水圧に耐えるためにダイビング用は、含まれる気泡の量が少なめとなっている点が特徴です。
気泡を少なくすることで浮力を弱めてより深く潜れるようにしたり、保温性を高めたりする役割を持っています。
対してサーフィン用は、動きやすさ重視のスーツです。深く潜ると気泡がつぶれて保温性を失うため、ダイビングでは使えない仕様となっています。
ダイビングでのウェットスーツの役割
ダイビングで使用するウェットスーツには、以下のような役割があります。
ダイビングでのウェットスーツの役割
- 浮力を確保する
- 肌を保護する
- 身体を保温する
浮力を確保する
ウェットスーツを着用することで、浮力を確保できます。
浮力を得られる理由は、ウェットスーツの素材に気泡が含まれているためです。自然に浮けるようにすることで、水中における活動をアシストしてくれます。
肌を保護する
ウェットスーツを着ることで、外部環境から肌を保護できます。
海の中にはゴツゴツとした岩肌や、毒のある生物も多くいますが、ウェットスーツを着用すれば、こうしたものに直接触れて怪我などにつながるリスクを低下させられます。
身体を保温する
ウェットスーツには保温機能があるため、冷たい水中でダイバーの体が冷えるのを防止できます。
スーツと肌の隙間に入り込んだ水が層を作り、断熱材のような役割を果たして内部の温度をキープします。
保温能力はウェットスーツの素材や厚さによっても異なるため、自分に合ったものを選びましょう。
ウェットスーツの選び方のポイント
ウェットスーツの適切な選び方は、以下の3つのポイントを重視することが大切です。
ウェットスーツの選び方のポイント
- 生地の素材
- 生地の厚さ
- スーツのタイプ
生地の素材
基本的にほとんどのウェットスーツはゴムでできており、表地と裏地は以下の素材で作られていることが多いです。
ウェットスーツの生地の素材
- ジャージ素材
- スキン素材
- 裏起毛素材
素材が違うと、保温性や伸縮性といった機能面に違いが出てきます。
「動きやすさを優先したい」など、まずは自分が重視したいポイントを考え、それをもとに素材を選ぶことが大切です。
ジャージ素材
薄手のウェットスーツに使われる定番の素材であり、伸縮性が高い特徴があります。
ゴムの上にジャージ素材が貼ってあるため破れにくいですが、素材に水が浸みるため少し重さを感じることがあります。
スキン素材
ジャージ素材よりも薄いため水が浸みにくく、軽さが特徴の素材です。海から上がった後の水切れがよく風を通しにくいため、保温性が高いメリットがあります。
ただし薄くデリケートな素材であるため、ジャージ素材と比べると破れやすいです。
裏起毛素材
主に冬用のウェットスーツに使われる裏地の素材であり、毛足の長い糸がスーツ内の水を動かさないようにするため保温性が高いのが特徴です。
ただし、ジャージ素材と比べると伸縮性が低く、硬さを感じることもあります。
生地の厚さ
ウェットスーツにはさまざまな厚みがあり、主にダイビングで使われるウェットスーツの厚さは3種類あります。
ウェットスーツの厚さの種類
- 3mm
- 5mm
- 7mm
厚さが違うと、保温性も異なってきます。寒いと快適なダイビングが難しくなるため、ダイビングする季節や水温などに応じて適切なものを選択することが大切です。
3mm
3mmのウェットスーツは、リゾート地などの温かい水域でのダイビングに適しています。
夏に沖縄などの南国でダイビングする場合は、3mmのウェットスーツで十分です。27度程度の水温を目安にしましょう。
5mm
5mmのウェットスーツでダイビングできる目安の水温は25℃程度であり、春・夏・秋と幅広いシーズンでダイビングしたい方におすすめの厚さです。
5mmのウェットスーツにインナーをプラスすれば、さらに保温効果がアップします。
7mm
7mmのウェットスーツは寒冷な水域でのダイビングに適しています。
ただし、厚さがあってもスーツ内に水が入るため、極寒の環境であればドライスーツに切り替えることが大切です。
厚さが大きくなると浮力が上がるため、そのぶんのウエイトを用意しましょう。
スーツのタイプ
ウェットスーツにはさまざまな形があります。形によって暖かさや機能性も異なるため、季節や求める機能に応じて合うものを選択しましょう。
ワンピースフルスーツ
全身を覆えるタイプです。ウェットスーツの中では、とくに多く使われています。価格もリーズナブルなものが多めです。
シーガル
半袖に長ズボンのタイプです。袖が短く涼しめであることから、暑い季節に向いています。タッパーを重ねて着ると暖かくなるため、少し冷えてきても安心できます。
スプリング
半袖に半ズボンのタイプです。腕や足が出ている上に生地も薄めとなっているため、水の中も外も暑い季節におすすめです。
セミドライ
見た目はワンピースフルスーツと同様ですが、保温力が高めとなっているため、寒い季節に向いています。首や手首が、水を侵入させにくい構造となっています。
スキンスーツ
ラッシュガードに似た生地を使っており、全身を覆う形となっているスーツです。毒のある生物から身を守ったり、日焼けを防止したりする役割があります。
タッパー
上半身だけを覆うタイプです。ウェットパンツやサーフパンツとの組み合わせが楽しめます。着ると暖かいだけでなく、日焼けも防止可能です。
ウェットスーツの選び方に大切なのはサイズ感!
ウェットスーツにはさまざまなスタイルがあるため、上記の方法を使って適切なものを選びましょう。
ただし、どのスタイルのウェットスーツであっても、選び方でもっとも大切なのはサイズ感です。サイズ選びに重要なポイントは、以下の3つです。
ウェットスーツのサイズ選びのポイント
- 保温性を高めるにはぴったりサイズ
- 首・手首・足首のフィット感がとくに大切
- 身体にあったウェットスーツはオーダーメイドがおすすめ
保温性を高めるにはぴったりサイズ
ウェットスーツの大きな役割である保温性を高めるには、身体にジャストフィットするウェットスーツを選ぶことが重要です。
ウェットスーツは内部に水が入り、肌とスーツの間に入った水が、体温によって保温される仕組みです。
ウェットスーツのサイズが大きすぎると、水が留まりにくいので暖かくならず、反対にサイズが小さすぎると効果的に水が入らないため保温効果が薄れてしまいます。
ウェットスーツの保温効果を最大限高めるには、身体にぴったりフィットするサイズのものを選びましょう。
首・手首・足首のフィット感がとくに大切
サイズのフィット感がわからない方は、首・手首・足首がフィットしているかを優先的に確認しましょう。
これらは水の侵入経路となるため、フィットしていなければ保温効果が薄れてしまうためです。
首・手首・足首の次に重要になるのが、胸囲のサイズです。胸囲が小さいと、苦しく感じたり動きにくかったりするため、腹囲よりも胸囲を優先することをおすすめします。
身体にあったウェットスーツはオーダーメイドがおすすめ
体型は個人によって大きく異なるため、既製品では身体にフィットするウェットスーツが見つからない方も少なくありません。そのような方には、オーダーメイドのウェットスーツがおすすめです。
オーダーメイドでは全身30箇所程度のサイズを採寸するため、自分の身体にぴったり合ったウェットスーツを着られるようになります。
既製品よりも金額は高いですが、より快適なダイビングを楽しみたい方は前向きに検討してみましょう。
まとめ
ウェットスーツはダイビングに欠かせないアイテムであり、ダイビングの快適性を高めるには自分に合ったウェットスーツの選び方が重要です。
今回紹介した3つの選び方とサイズ感を参考に、自分の身体にジャストフィットするウェットスーツを選びましょう。
ウェットスーツはレンタルできるダイビングショップも多いので、まずは着心地を確かめてから、自分に合ったウェットスーツを購入するのも手段のひとつです。
「東京ダイビングスクールBeyond」では、ウェットスーツだけでなくすべての機材をレンタルできます。
ダイビングライセンスを取得して本格的なダイビングを始めたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!